2014年3月22日土曜日

連続講座「文化財 春の探訪2014 in大津北郊」を開催しました

大津市埋蔵文化財調査センター「渡来人と大津」を見学
 3月とはいえ、少し肌寒い日となりましたが、良く晴れた3月22日に連続講座「文化財もの知り学2013」受講者を対象にしたオプショナルツアー「文化財 春の探訪2014in大津北郊」を開催しました。大津北郊には、多くの古墳や古代遺跡があり、今回は崇福寺と百穴古墳群・桐畑古墳を、大津市教育委員会文化財保護課の田中久雄さんの案内で見学しました。参加人数は40人でした。
志賀の大仏
 13時の集合場所は、京阪電鉄石山坂本線の滋賀里駅から西へ5分ほど行ったところにある、志賀八幡神社境内。そこからさらに5分ほど歩いたところにある大津市埋蔵文化財調査センターからスタートです。ここで田中さんと合流し、展示室で開催中の企画展「渡来人と大津」を、田中さんの解説により見学しました。大津北郊の古墳から多く出土する「ミニチュアカマド」や、滋賀県内で12点しか出土例がない「徳利形平底壷」など、渡来人と関連が深いと考えられる遺物や、穴太遺跡のオンドル遺構の写真パネルなど、小規模の展示室ながら充実した内容の展示でした。
 30分ほどの展示見学ののち、そこから西方向に上り坂を歩いて、まずは見学場所の中で最も遠い崇福寺を目指します。途中、志賀の大仏にも寄って解説をしていただき、最後のトイレ休憩をとりました。ここから先は急な山道が続きます。
 崇福寺は、天智天皇により668年に建立されたと伝えられ、戦前の発掘調査により主要伽藍の様子が判明しています。丘陵の尾根上に南・中・北の3つの伽藍がそれぞれ独立して存在していて、まずは南尾根を尋ねました。ここには、金堂跡・講堂跡があったとされていますが、中尾根・北尾根とは、建物の方位や礎石の形状が異なることや、南尾根からは白鳳期の遺物が出土することから、桓武天皇によって建立された梵釈寺ではないかとされています。金堂上には、大正4年に滋賀郡教育会により「崇福寺舊址」の石碑が建てられています。
崇福寺(中尾根)
 南尾根から中尾根を目指すには、登った山道を下った上でさらに渓流まで下り、飛び石を伝って中尾根まで登る必要があります。この飛び石が今回の最大の難所でしたが、みなさん軽々と歩いておられました。中尾根には小金堂と塔があったとされ、2つの基壇の周りには瓦がたくさん散らばっていました。ここでは、塔心礎にまつわるエピソードなども、田中さんからお話しいただきました。
 中尾根から北尾根へも、先ほどと同様に渓流を渡っていく必要がありますが、ここには金仙滝というちょっとした滝もあり、その並びには仙人が修行したとされる室もあります。北尾根には弥勒堂とされる建物があったとされています。
百穴古墳群
 北尾根を見学した後は、山道を下ってもと来た道を戻り、百穴古墳群を見学しました。ここには、さすがに100基はありませんが、40~50基の古墳時代後期に造られた群集墳があり、渡来人の墓と考えられています。発掘調査がされたことはありませんが、石室はいずれもドーム状に天井に向かうにつれて少しずつ狭まっています。いずれも開口していて、いくつかは中にも入ることができました。
 最後に訪れたのが桐畑古墳。これは、桐畑さんの家の庭にあることからついた通称で、正式には熊ヶ谷1号墳といいます。百穴古墳群のものに比べて大きな石室を持ち、現在は不動明王が祀られています。2班に分かれて交代で石室内に入り、天井石が落ちているため明るい石室内で田中さんのお話を聞きました。
桐畑古墳
 こののち、大津市埋蔵文化財調査センターまで戻ると、16時10分頃。少し早いですが予定通りの行程で終わることができ、田中さんにお礼を言って、解散となりました。歩いた距離そのものは2kmも無いくらいですが、全て山道だったこともあり、良い運動となりました。
 今年度の連続講座もこれで終了。次回は新年度5月10日に、第1回の講座が開催されます。今年度は共通テーマ「内湖と人びとの暮らし」として、全9回を予定しています。興味のある方は、初回開催日まで受講募集していますので(ただし定員に達し次第終了となります)、ぜひお申し込みください。 





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